むかしむかしあるところに
一匹の黒い犬がいました。
その黒い犬はジャーマニーの山奥で
老夫婦と暮らしていました。
ある日はおじいさんと川に魚取りに
ある日はおばあさんと山に山菜取りに
その黒い犬にとっては
それはそれは楽しい時間を
毎日過ごしていました。
そんなある日の夜
老夫婦の家に
1人の若い女性が現れました。
腕には可愛い女の子の赤ちゃんを抱いていました。
なんでも仕事を探すから数日間
赤ちゃんを預かってほしいと告げられました。
途方に暮れながらも孫はもちろん子供もいない老夫婦は
赤ちゃんを預かる事にしました。
最初のうちは黒い犬も兄弟が出来たと喜んでいましたが
そのうち老夫婦に構ってもらえなくなり
家を飛び出しました。
夜の山は真っ暗でした。
歩いても歩いても周りの景色は変わらず
黒い犬は自分がどこにいるのかさえ
分からなくなってしまいました・・・。
「つづく」